確か2年前くらいに、Quatre-Septembreという駅名がキーワードの小説を読みました。
だからといってここまできたわけではないですが。
・・・たまたま今回行きたいshopがその近隣にあった・・・ただそれだけのコト・・・・・
それでも、小説の舞台であった場所ということで、自分の中で、何かを感じられるんじゃないかという密やかな期待は胸にありました。・・・・・・・・・・9月4日という不思議な名の駅。

この駅は、大崎善生著の「九月の四分の一」という小説でキーワードとしてでてくるのです。
オペラの駅みたいな華やかさには欠けるけど、こじんまりとしていて、かわいらしい駅でした。
小説で読んで記憶の片隅にあった名前の駅なだけなのに、何故だか親近感を覚えました。
たぶん、私はあの小説を読んだことで、行ったこともないGrand-Placeや
Quatre-Septembreにいわば憧憬のような特別な感情を既に持っていたからなのでしょう。

▲Quatre-Septembreまでいく途中、ビルの谷間に見えた、サクレ・クール寺院。
・・・・・まるで蜃気楼みたいな不思議な光景でした。
「九月の四分の一」は、小説家を目指す「僕」が主人公。
思うように書けない日々に終止符を打つ為、突発的に旅行に出たGrand-Placeで、
彼は、彼女に出会うのですが・・・・・
彼女からの手紙に、「今度は9月4日で会いましょう」と書かれていたのを、
彼は、9月4日に、9月4日駅で会いましょう。という深い意味まで読み取れず、
9月4日に、二人が初めて出会ったブリュッセルのGrand-Placeで待ってしまいます。
彼はこの、Quatre-Septembreを、英語読みで9月の四分の一駅と思ってしまっていて、
9月4日という駅名を知ったのは、その約束の13年後だったのでした。
本当は、このQuatre-Septembreという駅を指していたのに。・・・・・
彼女とすれ違ってしまい、13年後その駅で、失った恋を回顧する。という切ないストーリーです。

▲Quatre-Septembre付近の小路
その小説の中の
「失われた恋は、崩されたビルのように二度と戻ってくることはない。
ただ、残像が残っているだけである。
しかし、残像であるがゆえに、より鮮明に心に投射し続けるということもある。
残されたビルよりも、壊されたビルをより強く思うように。」
という一節と初秋のParisの街はあまりにマッチしていて、私は、その付近を歩きながらも、
小説を読んでいた時の私の頭の中の映像が映画みたいにまわり初めているのを感じました。

今回行きたかったshop「ULTRAMOD」に辿りついたも束の間、なんだか私は気もそぞろで(笑)
あんなにかわいいボタンや糸やレースに溢れているのに、ひとつもかわずにそこを後にしました。
なぜだかわからないけど、・・・その時頭の中を駆け巡っていた映像に、浸っていたかったからなのかもしれない。たぶん、何も知らない人がこの駅を訪れても、何も感じないのだろうけど、私には、思いがけず私の感受性を揺さぶるようなシーンがそこにあった。それだけのことなのだと思います。
でも、時折、そういうシーンは頭の中に焼きついて、きっと次のクリエイティブの要素に
折よくmixされてゆくのだろう。・・・と静かに強く思うのでした。
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